信頼できる診療ガイドライン

National Academies Press, Washington, D.C.の厚意のもとNational Academy of Sciences, INSTITUTE OF MEDICINE of the National Academiesの許諾を得て翻訳を本ウエブサイトおよび、臨床評価 2013; 41(1)にて発表しました。

■ IOMによる２つの新たな基準の提唱：
2011年3月23日にIOMより報告された２つコンセンサスレポートは、IOMのウエブサイトにおいてフルレポートを、書籍（有料）で購入、あるいはpdfファイルまたはHTML（無料）で閲覧することができます。また、IOMのホームページのレポートを紹介するサイトでは、“Report at a Glance”として、以下の簡略に閲覧できる資料が紹介されています（Table 1）。

Clinical Practice Guidelines We Can Trust

Finding What Works in Health Care: Standards for Systematic Reviews

*表中の赤フォントで示す資料を翻訳したものが、下記→の資料です。

*システマティック・レビューのための基準は、→こちら。

■ 診療ガイドラインの定義（IOM Committee）:
Clinical Practice Guidelines are statements that include recommendations intended to optimize patient care that are informed by a systematic review of evidence and an assessment of the benefits and harms of alternative care options.^ref
---診療ガイドラインはエビデンスのシステマティックレビューと複数の治療選択肢の利益と害の評価に基づいて患者ケアを最適化するための推奨を含む文書である。

説明：
"『Clinical Practice Guidelines We Can Trust』は診療ガイドラインの現状について、そして医療の質と患者アウトカムの向上のために診療ガイドラインをいかに改善できるかについて検討している。いまや診療ガイドラインはわれわれの医療システムの随所で目にする。ガイドライン国際ネットワーク（GIN: Guidelines International Network）のデータベースには現時点で39ヶ国の3,700件を超えるガイドラインが登録されている。ガイドライン作成には、透明性の高い方法論的手法の不在、相反するガイドラインの調和の難しさ、利益相反などのいくつかの問題がある。『Clinical Practice Guidelines We Can Trust』ではCPG作成プロセスの質や基準の設立をとりまく疑問について検討している。また、信頼のおける診療ガイドラインを作成するための基準として、透明性、利益相反の管理、システマティック・レビューとガイドライン作成の連係、ガイドラインの推奨のためのエビデンスの基盤作りならびに推奨の強さの評価、推奨の表記、外部レビュー、更新に重点を置いた８つの基準を提案している。
『Clinical Practice Guidelines We Can Trust』は、医療専門団体、患者支援団体、医療専門家、診療ガイドラインを作成または使用する民間および国際団体、消費者、臨床医、支払い機関にとってきわめて重要な資料である。"