ガイドラインパネルは、推奨において資源の利用を検討するかしないかを明示的に選択する。

ガイドラインパネルは、正当な理由で資源の利用を検討対象外とし、検討対象となっている代替手段のその他の長所と短所だけに基づいた推奨を提示できる。この場合、最終的な意思決定者レベル（患者、医療専門家、組織（病院薬局または健康保険維持機構）、第三者支払機関、または政府）で資源配分について検討する必要がある。ガイドラインパネルは、資源配分を考慮するかしないかの決断について明確に示す必要がある。

ガイドラインパネルは、資源の利用を検討する場合、コストについて検討する前に、まず他のアウトカムに関するエビデンスの質を決定し、利益と不利益のバランスを検討する必要がある。資源の利用の重要性に関する意思決定は、この最初のステップを基に行うものである。たとえば、健康への正味の利益に関するエビデンスが欠如している状況では、資源の影響について検討しても意味がない。また、介入の利益が不利益を大幅に上回る場合は、資源の利用を検討する意味は低くなる。通常、資源の利用が重要となるのは、利益と不利益が拮抗している場合である。

GRADEアプローチでは、ガイドラインパネルが資源の利用について検討する場合、資源の利用を考慮した推奨を１件のみ作成するよう提案している。２件の推奨（資源の利用を考慮しない推奨を１件と、資源の利用を考慮した推奨を１件）を作成することは回避すべきである。２件の推奨作成は、GRADEが重要視する明示性の確保といった点では長所があるが、GRADEワーキングループは、介入の普及に利害を有する人々が、資金獲得競争の武器として資源の影響を無視して推奨のみを利用するのではないかと懸念している。